笹祝の新しい酒米「一本〆」

笹祝酒造では今期より、新たな酒米「一本〆(いっぽんじめ)」を扱うことになりました。栽培して頂くのは同じ新潟市西蒲区のひらき農園さんです。

目次

酒米「一本〆(いっぽんじめ)」について

「一本〆」は、現在の新潟県農業総合研究所で誕生しました。栽培のしやすさと醸造適性の高さを兼ね備えた、まさに理想の酒米でした。しかし、その育てやすさゆえに多肥多収の栽培方法が広がり、結果としてお酒の品質にばらつきが出てしまうこともありました。そのため、現在では「一本〆」を扱う酒蔵はほんのわずかとなっています。

今回僕たちがこの「一本〆」に取り組むことを決めたのは、「吸水が良く、お米の味をより引き出せる」という醸造特性。そして「丈が短く倒伏しづらいので育てやすい」という栽培適性からです。

一本〆の苗

日本酒蔵の酒米についての課題

近年、お米の環境は急速に変化しています。特に夏の異常な高温により、酒米が思うように溶けてくれないという問題が起きています。このまま、これまでと同じように既存の酒米で仕込みを続けているだけでは、お酒の味わいは繊細な方向ばかりに振れてしまうと危惧しています。蔵としてより魅力的なバリエーションの味わい、一段と進歩した品質の日本酒を製造していくめに、この一本〆という品種に目をつけました。

また、お米の栽培の現場においても新たな問題がでてきました。昨今急激に主食用の米需要がひっ迫し、新潟の農家の方々としては、やはりコシヒカリを中心とした需要のある主食米の生産に比重を置かざるを得ない状況となっています。酒米の多くは主食用米に比べて丈が高く倒伏しやすかったり、栽培に細やかな手間がかかる品種が多いのが現状です。そのような中で、大切な米作りを農家さんにお願いする立場として、出来る限り『栽培のしやすさ』が高い品種を選ぶことが、私たち酒蔵にとっても、そして日々の労苦を担う農家の方々にとっても、持続可能なより良い関係性を築く上で大切な視点だと気が付きました。

ひらき農園の唐沢さん

↑ひらき農園の柄沢一(からさわはじめ)さん。西蒲区の稲島エリアに圃場をもっています。他にも柿やイチヂクや蕎麦を栽培

西蒲区稲島(とうじま)という地域

この度、酒米「一本〆」の栽培を受けて頂いたひらき農園さんの圃場は、新潟市西蒲区稲島(とうじま)という地域にあります。稲島は雄大な角田山の東麓。圃場のすぐ反対側には、地域の農業用の水源である仁箇堤(にかづつみ)という大きなため池があります。水資源に恵まれた美しい土地です。

写真からもわかるとおり背景にそびえる角田山の緑がとても美しいですね!農家の方々や地域住民以外はあまり立ち寄らない閑静な場所で、新潟らしい田舎の風景が色濃く残っています。

これから、この一本〆の成長の様子を定期的に写真でお届けしようと思います。そして、収穫の秋には笹祝を日頃愛顧いただいている皆様をお招きして、ささやかながら収穫祭のようなイベントを企画できればと考えております。

笹祝の新しい酒米「一本〆」。どうぞ、ご期待ください!

稲島と一本〆の圃場
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次